無料ツールの登場やテクノロジーの進化によって、もはや高額な専門アプリケーションや制作スキルがなくてもデザインが手軽に作れる時代になりました。今までは依頼一択っだったデザイン制作が、ちょっとしたものなら自分たちで作ってしまおう、と選択肢の幅が広がったことはとても素晴らしいことだと思います。
その上で今度は『ビジネスにおいて、デザインは自作のもので十分なのか、はたまたやっぱりプロに依頼した方が良いのか』と疑問がわく方もおられるかもしれません。
この問いに関するぼくの結論は「絶対にプロのデザイナーに依頼すべき」です。
この記事では、何でそう思うのか5つの理由をもとに説明しますので最後まで読んでいただけると嬉しいです。特にあまりお金かけたくないと考えてる人ほど読んでほしいです。
ちなみに「クオリティが高い」という理由は除外してます。プロなんだからこれは当たり前ですよね。クオリティが高いことは当然として、自作ではなく依頼する側にまわることで得られるメリットをご紹介します。
プロに任せるべき5つの理由
1.圧倒的に早い
実際に作ったことがある人なら分かると思いますが、例えばシンプルなデザインは要素が少ない分、簡単そうに見えます。ですが実際にはシンプルであればあるほど難しく時間がかかります。そして凝ったデザインであれば当然さらに時間がかかります。つまりデザイン制作とは基本的に時間がかかるものなんです。
時間がかかる理由はいろいろありますが、大きな理由の一つに「デザインに正解(または終わり)がない」があげられると思います。正解がないからこそ、気になるところが見つかれば修正する、が続きます。その修正もかんたんに改良できれば良いですが、ここも試行錯誤となれば一箇所一箇所で時間がかかります。
一方でプロはデザインは時間がかかるものと知っています。その上で納期日までに出来る限りクオリティを上げる必要があるため、どういう順序で作り上げ、どこに時間を掛けてこだわるべきかを経験から知っています。よって素人が自作するより圧倒的に早く仕上がるわけです。一週間ぐらい時間をかけて一生懸命自作したモノも、プロに依頼すれば例えば数日後によりクオリティが高いものを仕上げてくることはザラにあります。
2.時間を生み出すことが出来る
1.圧倒的に早い に付随する話ですが、自作した場合時間がかかります。それも自分が想定しているよりもずっと時間がかかります。例えば仮にデザイン自作に10時間掛かったとした場合、これを依頼すれば、単純にその10時間が他のことに使えるようになります。
デザイン制作に限らず、誰かに依頼することの大きなメリットは「時間をつくれる」ことにあります。先程の話で言うなら「10時間」という時間をつくれました。この時間を例えばしっかり休んでリフレッシュしたり、勉強の時間に当てたり、自分の本来の仕事により集中したりすれば、慣れないことに費やす時間よりもよっぽど生産性は高く、時間を有効的に活用できてると言えます。
3.無意味なイメージダウンの回避
まれに「自分たちで作ってもちゃんと伝わるから」と言う方がいます。言いたいことは分かるし間違いではないと思いますが、大抵この場合「ちゃんと伝わる」という部分について認識の差があります。
おそらく、内容を読めば伝えたいことはちゃんと伝わると言いたいのだと思いますが、実際はまず読んでもらうことにもハードルが存在します。つまり、そんな簡単に人は興味をもたない(=読まない)ということです。では何がちゃんと伝わるのか?
紙媒体であれweb媒体であれ、見た人が真っ先に認識するのは「印象」です。そしてこの“印象”は「ちゃんと伝わり」ます。つまり自作したデザインがもし素人っぽさが出ていると素人っぽさがちゃんと伝わります。問題なのはこれがデザインではなく会社そのものが素人っぽく見える危険性があるということです。
内容をちゃんと読めばその誤解は解けるかもしれません。がしかし、先程も言ったようにそんな簡単に読んでもらえません。実態は良い会社であったとしても伝わる印象次第では無意味なイメージダウンにつながる恐れがあります。これはとてももったいない事です。
4.思考が整理される
この「思考の整理」は、今回の5つの中でも特に大きなメリットだと思ってます。というのも、依頼する・しない以前に、頭の中を整理することはデザインを考える上で必須事項となります。整理するとは例えば、
- 現在の状況
- 直面している課題
- 具体的な改善方法
- 改善のために必要なもの
- デザインテイスト
- 納期
- などなど
といったあたりをしっかり言語化することです。
これらを一人で考えるとなると、思いつくままに手を動かし、制作することに集中してしまいがちで、なかなか整理することが難しいです。その結果、何が良いか悪いかの判断基準が曖昧になってるので、必要以上に右往左往してしまいます。
一方で依頼するとなると、まず話をする相手がいるので、これだけでも一人でやるのと比べると圧倒的に整理しやすくなります。そしてその相手はデザイナーがうってつけで、なぜならデザイナーという仕事は、相手がどう考えてるか(望んでいるか)を把握することが必須のため、依頼主側が上手く言葉にできない部分であっても丁寧にすくい上げ、依頼主に代わって言語化し整理しようと寄り添います。
そして思考が整理されることによって気持ち的にもスッキリするし、物事がよりクリアに見えるので、新しいアイデアが浮かぶキッカケにもなりやすいです。
5.運用方法の相談が出来る
これも先程の「4.思考が整理される」と同じくらい、依頼することで得られる最大のメリットの一つです。当然ですがサイトでもパンフレットでも何でもそうですが、デザインしたツールはつくって終わりではありません。むしろ作って完成してからが始まりで、そのツールをどのように活かし活用(運用)していくかが非常に重要になります。
例えばサイトの場合であれば、
- どうやってサイトに人を集めるのか
- 更新する人のweb知識はどの程度か
- 更新頻度
- などなど
またはカタログの場合だと、
- お客さんはどういうシチュエーションで手に取るのか
- 中身の情報の差し替え時期はいつか
- 紙の種類は何が適切か
- 印刷方法
- などなど。
これらはプロの知識と経験によって積み重ねてきたノウハウそのもので、自作の選択肢をとると決して手に入れることができません。しかし依頼すれば運用方法についてより的確なアドバイスがもらえることはよくあります。繰り返しになりますが、デザインは運用してはじめて意味がありますので、運用方法の相談はある意味、制作そのものより価値があると言っても良いかもしれません。
デザインを自分で作ることの罠
デザイナー以外で、デザインを自作する人には大きく2つの理由があると思います。それは「少しでも出費をおさえたい」と「デザイン制作って楽しそう」。このどちらか、あるいは両方ではないかと思ってます。これらは気持ち的にはよく分かる話ではありますが、仕事として見ると割と陥りがちな罠であったりもするので十分に気をつけるべき点です。
出費を抑えたい、と考えるなら、「保有するお金の減少」ではなく「自身の時給と比較」での検討をオススメします。例えば、依頼すれば5万円だけど自作すれば無料!と考えるのではなく、時給が2000円として完成までに30時間掛かるなら6万円の人件費+その間の売上0円である、という考えも持っておいた方が良いです。
また、デザイン制作楽しそう、についても、楽しいことはついつい時間を費やしがちなので、本来の業務に支障が出ないようにしなきゃいけません。また好きなようにデザインできれば最高に楽しいと思いますが、それがお客さんに受け入れられるかはまた別です。好きかどうかの感覚はひとそれぞれって事を十分に肝に銘じておく必要があります。
まわりにデザイナーがいないという方へ
プロに依頼した方が良いというのは分かった、けどそもそも自分の周りにデザイナーなどいないし、どうやって頼めば良いか分かんない。という方もいるかも知れません。もちろんググればデザイン事務所や個人のデザイナーのサイトは見つかるとは思いますが、いきなり問い合わせは敷居が高いという方も少なくないと思います。
そんな方にオススメなのはクラウドソーシングの活用です。クラウドソーシングとはネット上でデザインの依頼をすることで複数のデザイナーから提案を受けれるというサービスです。頼み方は基本的にフォーマットに則って行うため、サイトの使い方を見たり、他の人の投稿を参考にすれば問題ないかと思います。
そこで相性が良いデザイナーと出会えたら、引き続きお願いすることでより関係値を深めていきましょう。きっとあなたの事業を手助けしてくれる良いパートナーになってくれると思います。
代表的なクラウドソーシングサービス →ランサーズ (https://www.lancers.jp/) →クラウドワークス (https://crowdworks.jp/)
まとめ
ここまでで、ビジネスにおいてデザインは自分でできる分は自分で作るのか、それともプロに依頼すべきなのか。この問いについて「プロに依頼すべき」と感じる5つの理由を解説してきました。おさらいすると
1.圧倒的に早い
→自作すると数倍以上時間が掛かりる上に、プロのクオリティには届かない。
2.時間を生み出すことが出来る
→自作するはずだった時間を、より生産性の高い有益な時間として使える。
3.無意味なイメージダウンを回避
→素人っぽさのあるデザインは、素人っぽさのある会社と思われるかもしれない。
4.思考が整理される
→プロに頼むことで自分では上手く表現できない想いや考えを言語化しやすくなる。
5.運用方法の相談が出来る
→つくって終わりではない。完成したその後の活かし方も相談できる。
また、自分で作るとその分費用が浮くように感じますが、その制作にあてる時間の人件費なども合わせて考える必要がある事。デザイン制作は楽しいかもしれませんが楽しさを重視し過ぎてはいけないという話もしました。
さらに、依頼したくてもまわりにデザイナーがいないなら、まずはクラウドソーシングからはじめてみつつ、相性の良さそうなデザイナーがいればその後も仕事を通して関係性を深めていくのがおすすめです。
以上となります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。